8月6日、ヘリテージマネージャー養成講座に参加してきました。

この講座は6月から開催されており月2回の全11回。現在までで5回の講義を修了しています。

・「ヘリテージマネージャー」って何?
ヘリテージ=遺跡、遺産
マネージャー=専門家
つまり、「歴史的建造物の専門家」という意味で、地域の歴史的建造物の保全、活用を行っていく人材の育成を目的としています。

これまでの講義の主な内容は古い建物を調査する際の方法や考え方。
社寺仏閣などは現代の木造住宅とは異なる考え方で作られたことは容易に想像できますが講義を受けるなかで町屋や農家住宅も現代の価値観とは全く違うもので作られたことがわかります。
また、建築の知識だけではなく近隣の歴史や当時の経済状況も知らなければ正確な調査が出来ないことも知りました。

小澤家住宅
新潟市指定文化財 小澤家住宅

・今回の講義の内容は文化財の防災
8月6日の講義は新潟市の小澤家住宅にて行われました。
内容は文化財の防火や耐震。
歴史的建築物は木造がほとんどで防火に対して特にしっかりとした対策が必要です。
また不特定多数の方が利用するため一般住宅では目にすることの無い防災設備を使用する事も多いとのこと。

・印象に残った言葉。
文化財の防災計画の第一人者であるという先生のお話。
本来人目に付くところに設置しなければならない警報装置。ある施設で隠すように設置してあるのを目にしたそうです。
「建築士さんは設備を隠すのが大好きだから。」
と先生からの苦言。
私も設備を目立たない位置に配置することは設計において基本的な事と認識していました。しかし、防災設備の場合目につかないところに配置したのでは用をなさない場合もある。
不特定多数の人が利用する文化財の場合は住宅以上に見た目のデザインだけではない計画が重要ということです。

小澤家住宅
講義の様子

・耐震補強の方法も特殊
耐震補強に関しても防火設備同様、住宅とは異なる補強、改修方法が用いられます。
鉄骨による補強やガラス制震壁、面格子壁など。雰囲気を損ねず安全も確保するよう工夫されています。

小澤家住宅
面格子壁。特殊な耐力壁だが雰囲気を損ねておらず違和感は無い。

小澤家住宅
鉄骨柱とブレース。こちらは目立ちます。
あえて色を薄くして強調しているようにも見える。

小澤家住宅
入口に入って正面の壁はガラス制震壁。開放感がある。

今回は小澤家住宅の細部を見学する時間は取れなかったので改めて訪れたいと思います。

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11月まで続くヘリテージマネージャー養成講座。今後も楽しみです!

木の家の新築・リフォームなら…
新潟県阿賀野市 宮崎建築

この記事を書いた人

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宮崎 直也

宮崎建築4代目で、設計・施工・管理を担当しています。
新潟県ならではの「冬寒く、夏暑い」という悩みに、建て替えなくても新築と同等以上の断熱性能が確保できる断熱リフォームを手がけています。一般的なリフォームとは違い、少ない光熱費で全体の空調を実現しました。
2級建築士、1級技能士、職業訓練指導員、平成9年技能五輪新潟県予選1位、平成10年技能五輪全国大会出場。嫁さん大好き。